伊賀流忍法でアイドル界をサバイブ!?忍者道場に行ったら素質があり過ぎた

ふくもりみほ

狸山みほたん

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こんにちは、地下アイドル兼ライターの狸山みほたんです。

私はこのように記事を書く一方で、地下アイドルとして歌って踊って自撮りをする活動に励んでいます。といっても、このご時世でライブもなく、自撮りに励むことがメイン活動になっていて危機感を覚えています。正直やばい。

というか、ライブがなければ売り上げもない、ライターの仕事だって不安定だしバイト先は休業に追い込まれ、別のバイトを増やしたものの若手の参入によりシフトは削られる一方。
私の未来は一体どうなってしまうの!? このままアイドルを名乗り続けていいのか!?

この先なんとかしないと……と思っている真っ只中でございます。

さて、そんな私が自分のプロフィールでずっとアピールしていることがあります。それは三重県伊賀市出身であること。

そう! 忍者の里、伊賀出身なのです!

そこんとこ、もっとゴリ押ししていこう! というわけで、最新のオリジナル曲のタイトルは『恋の助太刀!忍者ガールズ』。


各サブスク配信中です

アピールの甲斐あってか、2019年には地元伊賀市のイベントにアイドルとして出演することも叶い、その際に自分たちの名前入りの忍び装束も作っていただきました。

さらに私ってば、こう見えて運動神経いいし、体幹も強い。

あと、年に1回くらいのペースで見ず知らずの屈強な男性に「この体格はなんかやってたでしょ!」って絡まれるんですよね。別になにもやってないのに!

ここまで手札は揃っているのに、その後に忍者関連の仕事が増えることもなく……。
冒頭で吐露した通り、何とか活動の幅を広げたいところなのですが、やっぱり忍者の服を着て忍者の歌を歌ってるだけじゃだめか〜。もうちょっと本格的に忍者に近づく方法はないかなぁ。

というか、本格的に忍者になれば、アイドルとしてもライターとしても仕事が増えるのでは!?

そんなことを悶々と考えていた時に、人間編集部に新しいメンバーがやってきました。

階段を登ってくる黒い影……

スッ……

忍者が来た……!!!

人間編集部に忍者登場! 忍者になる入り口はどこ?

彼の名前は色波さん。気づいたら、人間編集部に所属していました。さすが忍び。

色波さんは「伊賀之忍砦」という団体に所属している忍者で、アート活動もされている「Ninjartist」。忍者の生き方を現代に応用するべく、日々修行中の身なのだとか。

なんと、絶好のタイミングで現代に生きる忍者に出会ってしまいました!
これは私も忍者になれるチャンス!!
さっそくどうやったら忍者になれるのか、問い詰めてみました。

私も忍者になりたいんですけど、色波さんはどうやって忍者になったんですか?

大学を卒業した時に「忍者募集」というのを見つけたのがきっかけです。

え! 忍者ってそんな堂々と募集してるもんなんですか!?

その「忍者募集」というのは、刀や手裏剣を売っているお店で働く忍者を募集していたんですよ。大阪の天保山にあるお店でした。

現代的忍者だ……!

そこで4年くらい働いたのちに、全国の忍者イベントやショーなどに出演して忍者を広める活動をしている「伊賀之忍砦」という団体を紹介していただいて、そこに所属しています。

うーん、なんか思っていた忍者像とちょっと違うんですけど……キャリアのスタートも大阪の街中だし……なんかもっと忍者らしいところ教えてくださいよ!

忍者のスキルとしては、手裏剣打ちが得意ですね。「伊賀流手裏剣打選手権大会」にも何度も出場しています。

※2008年度から2018年度まで、伊賀上野観光協会が主催となって開催された「伊賀流手裏剣打選手権大会」を2019年度より日本忍者協議会が引き継ぎ、大会名が「全日本忍者手裏剣打選手権大会」に変更となった。

手裏剣の大会ってこんな感じ!? めちゃくちゃ審査員の人たちが見守ってる!

初めて出場した時に本戦まで進んじゃって、自分には手裏剣の才能があるなぁって思いました。これまで9回出場して、8回は本戦に進んでいますね。

すごい! 手裏剣って実は的に当てるだけでも結構難しいんですよね。私、MVの撮影で手裏剣打ったけど、20回中1回しか刺さりませんでしたよ。いいなぁ〜! なんとか私にも忍者になれる方法を紹介してもらえませんか!?

じゃあ、僕に忍者団体を紹介してくださった、先輩忍者を紹介しましょう。その方がやっている忍術道場に行ってみてください

やったー!! ありがとうございます!! ちなみに、忍者になったらどんないいことがありますか?

忍者は情報収集に長けていないといけないので、この情報化社会で生き残るための修行になると思います。あとは本人の志次第じゃないですかね。

ますます忍者に無限の可能性が見えてきたぞ……! 頑張って修行してきます!

いざ、忍者道場へ!

というわけで、やってきました!

ここが忍術を教えてもらえるという、京都は四条烏丸にある「NINJA DOJO and STORE」です!


街のど真ん中にあるとは思えないザ・忍術道場


物騒なものがたくさん並んでいます

そして、こちらが師範忍の市川伊蔵さんです。

市川さんは、私と同じく伊賀出身で空手道、居合道などの武術に加え忍術の修練も積んだ強者。2015年に「NINJA DOJO and STORE」を立ち上げ、こちらでたくさんの方に忍術や忍者文化を教えています。

厳格なオーラにビビっていると「実家、伊賀なん? どのへん?」「高校どこ? あ、一緒やん!」という、急に県外で地元同じ人に遭遇した感を出してくる市川さん。めちゃくちゃ気さくだな!!

緊張もほぐれたところで、早速忍術修行スタート!

張り切って自前の忍び装束に着替えました。
もしかしたら、私も色波さんみたいに得意な忍術が見つかって一発で忍者の仲間入りができるかもしれません。

よっしゃー! 頑張るぞー!

九字印を結び、抜き足差し足忍び足……修行スタート!

道場に礼!! お互いに礼!!

よろしくお願いします。

まずは九字印をやります。精神統一のために呪文を唱えながら、両手をいろんな形に組んで印を結んでいきます。

うわー! アニメとか漫画でめっちゃ見るやつ!

臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!!

思ったより複雑ですね。フィクションだとみんな簡単そうにやってるのに。

これから忍者としてやっていきたいなら、これはマスト! 九字印ができないと「エセやな」ってバレるし、逆に、烈・在・前の流れを指を離さずスムーズにできたら「お、違うな」ってなります。

忍者マウントだ……!

チェックしてますよ。いるんですよ、なんちゃって忍者も。


この手が逆だとエセ忍者

じゃあ次は、なんば歩き・すり足・忍び足の歩法を教えます。

現代の歩き方と違って、右足と右手、左足と左手を同時に出す方法で、体の構造を活かして最大限の力を発揮できる歩き方です。相撲や空手など、日本の武術はなんば歩きが基本。それではやってみましょう。


続いて忍び足

すごい運動神経いいね! なんかやってた?

よく聞かれますが、武術の類は何もやってません!

上手上手。ずっと伊賀の人?

100年くらい前までは遡れると思います

それならほぼ間違いなく忍者の血は混じってるよ。

ほんとですか!? やったー!!

じゃあ、今の忍び足を応用して、足元のまきびしを見ないで避けながら歩いてみましょう。


まきびしは植物の実を乾燥させたものだが、触ると硬くてちゃんと痛い

足を完全におろす前につま先で探って歩いていきます。これができるようになれば、災害の時なんかに足元が見えなくても怪我をせずに歩くことができます。

すごい! 急に忍術が実生活に活かせそうな感じで出てきましたね。

忍術はいにしえのサバイバル術だからね。忍者というのは潜入先から情報を持ち帰ることが最重要なので。

なるほど……!

忍者らしい修行の数々にテンションがあがる!

次は、抜刀から納刀までの流れをやっていきます。

うまいな! 何かやってた?

いや、ほんとに武術の類は何もやってません!

ほかにもいろんな忍術修行をしたので、ちょっとダイジェストでご覧ください!


壁がクルッとひっくり返る「どんでん返し」私がやるとコソ泥みたいな顔になる


掛け軸の裏が抜け道になっていたり、床の間に刀を隠していたり


すいとんの術や、聞き耳を立てる時、壁をのぼる道具としても使える忍刀の説明


「座探りの術」という暗闇で刀をレーダーのように使う術や、敵と戦う時の使い方を教わる

これぞ忍者! 手裏剣やクナイの使い方を学ぶ

次は忍者の道具を使っていきましょう。実は忍者専用の武器って少なくて、普段は農民として生活しているので、大工道具を忍び込む道具にしたり、この鎖鎌みたいに農具を武器にしたりしていました。

そう言われると、確かに日常で見かける形状のものも多いかも!

苦無(クナイ)は、投げる、切りつける、壁をのぼるなど万能な道具です。さっきも言いましたが、忍者はとにかく生きて帰ることが大事。なので、もし敵と遭遇しても敵意を見せずにやりすごすのが一番。クナイを隠し持って……

相手が切りかかってきたら、クナイを持ち替えて切りつけて……

そう! あとはゴメンナサ〜イって逃げます。

なんかゆるい教え方だけど、動きはめっちゃ忍者っぽい!

「忍者らしいこと何かやって」って言われたら披露しやすい動きです。

わかりやすい!

じゃあ次は手裏剣の打ち方いきましょう。

いい感じ! 手首のスナップを利かせて!

刺さった! 初めて正しい打ち方を知りました。

次は棒手裏剣やりましょう。棒状の手裏剣で、今度は回転させずに投げます。

イメージは中華鍋の底をなでる感じで。無の境地で投げた方が刺さります。ゴルフのチャー・シュー・メーン!」みたいに、はい、チュー・カ・ナベ!

チュー・カ・ナベ!!!

うわあ!! ほんとに刺さった!!

バーベキューの串とかお箸とか、尖ってる棒状のものならなんでもできます。珍しい技だし、「おおお!」ってなるハズ! 的にする発泡スチロールもホームセンターに安く売ってるし。

どこまでも実用的なアドバイスくれるのが、ありがたい。

じゃあラストは吹き矢。

思ってた5倍くらい長い。

腹式呼吸でそのまま息を吐き出すように吹いて。

ホッ!!!

いいね! うまい!

ボイトレで鍛えた腹式呼吸がここで役立つとは。


見事に刺さりすぎて笑っちゃう

うん、コツ掴んだね! 手の形も素晴らしい! 吹き矢は射程距離20メートルくらいだから、もう少し離れてみましょうか。

やったー! 刺さった! まさか自分が吹き矢得意だったとは! 有終の美を飾ることができてよかったです。

それでは、道場に礼! お互いに礼!

ありがとうございました!

自分の熱量を信じて突き進む、現代の忍者とアイドルは同じ!?

忍者修行、教え方がわかりやすくて楽しかったです! 市川さんはなぜ忍者になったのですか?

理由らしい理由は、伊賀出身ってくらいなんですよ。もともとサラリーマンをやっていて、40歳くらいの時に、これまで自分が培ったものを活かしながら地元に恩返しできることはないかと思って。

急に「忍者だ!」って思い浮かんだんですか?

忍者ってワードは誰でも知ってるけど、詳しくは知らないでしょ。自分も伊賀出身やけど、意外と知らんなって思って、調べ始めたのが最初です。それから忍者研究をしている人、地元の歴史研究家、忍術をやっている人などとネットワークを作って、いろんな分野からのアプローチを学び始めたんです。

確かに私も今日初めて知ったことがたくさんありました。

それから、忍者というコンテンツで伊賀をアピールできたらいいな、と思ってこの道場を始めました。ちょうどインバウンドの波が来ていたので、ビジネスとしても成り立つのではないかと。海外の人は忍術に対して、茶道や柔道のように、精神的にも文化レベルの高い芸道・武道のひとつとして捉えているんです。

確かに、海外に行った時に空手教室のような扱いで、忍者教室があるのを見て驚いたことがあります!

そうなんです。彼らは文化として吸収して学ぼうとしてるんです。

日本人にはなかなかそういうアプローチは難しいですか?

日本では、歴史的なアプローチがいいと思いますね。例えば、史実の裏ではこういう忍者の活躍があって……という話は、歴史好きな人には響くはずなので、これからは日本人向けにもフィクションのイメージを取っ払いつつ、忍者の文化を広めていきたいと思っています。京都から伊賀に行くツアー案内をしたりとか。

めちゃくちゃいいですね! 私も今後、忍者という肩書きで何かできないかと思ってるんですけど、今日の修行で私は忍者と認めてもらえますか?

忍者というコンテンツを身につけて、タレントとしてやっていきたいってわけですよね。そうやって名乗るからには、絶対に人からいろんなことを聞かれます。その人たちを上回る知識と熱量を持っていないと、その設定は成立しないから、まずはもっと勉強しないといけない。

やっぱりそうですか……

勉強した上で、忍者は日本ではどこまでいってもイロモノ扱いされます。それを心折れずに突き通せるかっていうのが大事。何を言われても、自分の知識と熱量を信じてぶれずに突き進められたら、何かしら道は開けるかもしれません。今は“忍たま”ということでいいんじゃないですか。

浅はかな考えだったのに、優しいお言葉ありがとうございます……! 世の中の忍者の方々は、どうやって忍者だと名乗っているんですか?

独学ですよ。みんな熱量が半端なくて、独学で忍者として名乗ってるんです。

つまり、自分自身が自信を持って、その第一人者だと自ら認めることができた時が、名乗る時っていうことですか……!?

うん、言うたもん勝ち。

アイドルと一緒じゃないですか!! どこからがプロとかではない、自分自身がプロだと名乗ることができるならプロって!! これからも忍者になれる可能性はいつでもどこにでもあるわけですね。勇気づけられます。

ある意味、夢を与える仕事やからね。

アイドルと一緒や!!

特に子供たちの中には、将来の夢が忍者という子もいますからね。プロ野球選手やレーサーと同じで、彼らの夢を成就させてあげるためにも情報発信は大切です。

すごい、ますます忍者に興味と希望が出てきました。今日はありがとうございました!

いやぁ〜、まさか忍者とアイドルが一緒だという着地点になるとは思ってもみませんでした。

確かに、私自身、誰かに認められるとか売上をあげるとか、そういうのをすっ飛ばしてアイドルを名乗り始めたのでした。でも、そこには別に後ろめたさや後悔ってないんですよね。最初から今日まで、ずっとでかい声でアイドルですって胸を張って言っています。

市川さんは、「忍者としてビジネスをするには英語を勉強するべき」と話していたり、どの忍術ならそれらしく披露できるかを教えてくれたり、実用的なことをたくさんアドバイスしてくれました。

なるほど! つまり、私にとって忍術はアイドル界でサバイブするための術!

アイドルということは堂々と自称できるけど、忍者としてはまだまだ勉強と修行が必要です。
情熱を持って取り組んで、発信&サバイブしていくぞー!!

ひとまず忍者の卵として認めていただいたので、名刺に書いてみました。

さっそく地元での仕事の際に配ったところ、反応ばっちりでした。
これからも精進します!

■取材先
NINJA DOJO and STORE(伊賀流忍者道場)
本格忍者修行、手裏剣体験、大文字忍者トレッキングや、通いの忍術稽古、殺陣教室などもあります。
webサイト、またはメールよりご予約ください。
Email:booking@ninjadojo.net
住所:〒600-8422 京都市下京区白楽天町528 二階(室町通仏光寺上ル)
最寄り駅:地下鉄烏丸線「四条」駅 阪急京都線「烏丸」駅、四条烏丸から徒歩3分
営業時間:10:00〜18:00
定休日: 無し(要予約)

撮影 ミヤカワシュウ

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