”知る”の新しい体験を作る「しるすべ研究室」発足 & 人間編集部3年目の振り返り

トミモトリエ

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こんにちは。人間編集部編集長のトミモトです。

おかげさまで、2月19日で人間編集部を立ち上げて丸3年の節目となりました。

カバー写真は、昨年から編集部に参加したしまだあやと、裏方スタッフ4人の集合写真です。今年はあえてこの写真を表紙にしたい。その理由は後半に書きますが、例によって、人間編集部がこの1年何をしてきたのか? これから何をしていくのか? を振り返ります。

  

この1年人間編集部は何をしてきたのか?

世界中が新型コロナウイルスに翻弄された2020年……。人間編集部の3年目は、ボスである私が3ヶ月間いなくなるという、編集部としての緊急事態からはじまりました。

「2020年にしばらく日本を離れる」

これは、人間編集部を立ち上げる前から決めていたことで、人間編集部のメンバーや取引先にも再三伝えていたのですが……1年前の2月17日に「なるべく生きて帰る」と言い残し、私はインドへ旅立ちました。


1年前の私(インドではまだ感染者がほとんど出ていなかった)。

その後、日本でも新型コロナウイルスの感染が拡大、仕事も日常生活も一変。会議も取材も全部リモートで行うという、いわゆる「新しい生活様式」に対応した働き方に……。

編集部内は殺伐としていたようで……

トミモトさんいなくなってマジで地獄だった。

コロナの影響で仕事が増えまくって死ぬかと思った。

(本当にすみません)

というのも、新型コロナウイルスの影響で、人間編集部は記事の制作依頼がどっと増え、てんやわんやの日々だったのです。

その頃トミモトはネパールの山の中でロックダウンになり2週間山の中に閉じ込められていました。

医学部附属病院がある近畿大学では、ウイルスの研究や感染症対策に力を入れ、積極的に情報を発信。「2020年Kindai Picks人気記事ランキング」を見てもらうとわかるように、医学部免疫学教室の宮澤先生が大活躍し(宮澤先生のお話は本当にわかりやすいのです)、授業のオンライン化に関する大学生向けの記事も多く制作しました。

その反面、2月や3月に公開を予定していた、”楽しい感じの記事”がほとんどお蔵入りになりました。世間の状況を配慮して、真面目な記事しか公開できない。記事の内容に細心の注意を払う必要もあり、「人間編集部ってそういう編集部だっけ?」と、存在意義を見失いそうになっていました。
 
  

会えない時間のWebマガジン『No Meets』創刊

私が復帰したのがGW明けの5月7日。その頃日本は最初の緊急事態宣言が発令され、超自粛モードまっただ中でした。

復帰しても誰にも会えない状況で、みんな大好きな雑誌『Meets Regional』が創刊以来初の休刊を余儀なくされている……という話を聞き、「なにかせねば!」という衝動にかられて制作したのが、Meets Regional編集室+人間編集部による期間限定Webマガジン『No Meets』。

取材に行けない今だからこそできる手法で、会えない時間に足りない「雑多なモノ・コト」を届けたい! コロナ禍で落ち込んでいる店舗やMeets読者、そして雑誌を作る自分たちが、少しでもゴキゲンになるコンテンツを!と、通常の仕事と並走しながら、チームを発足してから3週間でサイトを制作し、1ヶ月で30本の記事を公開……って、「そんなことできるんやな」と自分たちでも驚きましたが、やりきりました。


制作期間中、一度も会わなかったメンバー。緊急事態宣言解除後、最後の30本目の終了宣言の記事でようやく顔を合わせた。

大人の都合とか偉い人の意向とかそういうものが一切介在しない、雑誌とWebのプロが夢中で作った「自分たちが今読みたい読み物」。記事を企画して書いて編集する「根本の原動力」や、「伝える」ってなんだっけ?「やりがい」ってなんだっけ?と、見失いかけていた何かを取り戻した企画でした。
めちゃくちゃ大変でしたが、何年経ってもこの瞬間を思い出すだけで前向きになれる気がします。

▶︎「No Meets」おわります。
 
  

「変集予備校 夜間部 マニアック科」スタート

2019年は、とにかくイベントをやりまくって、毎月の「人間酒場」で集まって、「変な人が集まる場所」としての価値を高めてきた人間編集部。
しかし、2020年はそれが一変して、イベントができない!人を集められない!


「オンライン人間酒場」もこれはこれで楽しかったし、関西にいない人も参加できる新鮮さがありました。

「人間酒場」は「オンライン人間酒場」としてオンライン飲み会形式にしていた時期もありましたが、バーチャルでやればやるほど「リアルでやりたい」という思いが溢れ、全然満たされない。

やっぱりイベントがしたいんじゃーーーー!!」と、「Go To トラベル」の停止前に、ようやく開催したオフラインイベントがこちら。

人間編集部は、面白くて変な人と面白くて変なことを集める「編集部」であり「変集部」です。
その「変集」に特化するためにはじめたのが、面白くて変な人を育成する「変集予備校 夜間部 マニアック科」。

第一回目は、プロ営業師・プロ飲み師の高山洋平先生(株式会社おくりバント社長)を講師に招き「酒場で学んだ豪快営業術」の授業を実施。
久しぶりにめちゃくちゃ笑いました。そして、めちゃくちゃ長い後日談があるので、文末に書きます。

※もちろん、感染対策やソーシャルディスタンスを徹底してイベントを実施しました。

 

みんなの「マイネ王調査団」発足

格安SIMサービス「mineo」のコミュニティサイト「マイネ王」では、ユーザーに向けてのファンサービスを向上させるべく、ユーザーの素朴な悩みや挑戦事を企画で解決する「マイネ王調査団」を発足。

朝日を浴びて目覚めたい!「日当たりの悪い部屋」に無理やり太陽を導いてみた」や「幻の「緑色の明太子」をもう一度。探しても無いので自作してみた」など、人間編集部らしい、まあまあ無茶な方法で悩みを解決する企画が人気を博し、近々更なる進化を遂げる予定です。

▶︎「マイネ王調査団」シリーズの一覧はこちら
  
  

MBS採用サイト「屋台人間人事前田」制作

MBS(毎日放送)採用情報サイトの特別企画「屋台人間人事前田」も、昨年に引き続き編集を担当させていただきました。

MBS人事部の前田さんが、就活生が「放送業界で働いてみたい!」と思えるテレビの未来を探すために、自ら「屋台人間」となり、時代の先端をいくキーマンの元へ話を聞きに行く出張屋台対談コンテンツ。2020年は、NewsPicks編集長の池田光史さん、放送作家の白武ときおさん、『少年ジャンプ+』編集長の細野修平さんを取材しました。

▶︎「屋台人間人事前田」シリーズの一覧はこちら
  
  

「あした死ぬラジオ」はじめました

そして、新しい試みとして、「死」を題材にしたポッドキャスト番組「あした死ぬラジオ」をはじめました。

理想の死に方は?どんなお葬式にしたい?走馬灯の重要シーンを3つ選ぶとしたら?死ぬ前に言いたいことは?など、「あした死ぬ」という前提で、死についてポップにおしゃべりするラジオです。

▶︎トミモトリエ&しまだあやの「あした死ぬラジオ」はじまります
  
   

ルール作りと体制強化の1年

楽しいことができないなら、この機会に「みんなが仕事をしやすいルールを作って、体制強化をしよう!」という1年でもありました。

人間編集部には、表に出ているメンバーだけでなく、裏で編集部を支えているメンバーがたくさんいます。校正・校閲者、アナリスト、デザイナー、マネージャー、薬事法管理者、ひたすら記事の入力を担当しているスタッフや、リサーチや文字起こし、アンケートの収集などあらゆる雑務をこなすアシスタント、そういった裏方スタッフに支えられています。

この3年で、人間編集部は、しっかり「プロ集団です!」と言えるくらいに成長しました(写真を見るとめちゃくちゃ怪しい集団ですが)。

「一般的にはこれが普通」というのが通用しない凸凹なチームだからこそ、スケジュール管理から、データの管理方法、表記ルールなど、独自の方法でマニュアルを作ってきました。

例えば、アナリストと相談して、サイト全体の強化を図ったりタイトルのキーワードを調整することで、初動でアクセスが伸びなかった記事も「長く読まれる記事」としての価値を高めることもできます。


現在、Kindai Picksのランキング上位の記事も、公開当初は伸び悩んでいた記事だったりします

大学の先生に原稿チェックをしてもらった時に「校閲が素晴らしいですね」と褒められることがあるのですが、これも地味にめちゃくちゃ嬉しい。裏方の仕事はわかる人にしかわかってもらえない。でもすごいんだぞ!と言いたい。

そう、人間編集部は裏方もすごいんだぞ!!と自慢したい。そんな冒頭のカバー写真でした。

  

編集部のメンバーが個人的に良かったと思う記事2020年

今まで、アクセス上位やSNSで反応が良かったものから編集長の私が独断で選んでいましたが、今年は、裏方スタッフも含めてみんなが個人的に良かったと思う記事を1人3本ずつ選んでもらい、それを集計して「個人的に良かったと思う記事ランキング」として紹介させてもらいます。

みんなが選んだ良かった記事1位


▶︎Kindai Picks:コロナ禍の今、帰省もできないので「遠隔で母の味を受け継ぐ会」を考えたらハートフルだった

企画・執筆:狸山みほたん/編集:おかん
帰省もできないコロナ禍の「母の日」企画として制作した、学生がオンラインでお母さんに料理を教えてもらう……という企画。プレゼントや感謝の言葉を贈るという形ではなく、お母さんに料理を教えてもらうという親孝行もある。オンラインだからこその距離感とぎこちなさにニヤニヤしてしまう記事でした。

 

みんなが選んだ良かった記事2位


▶︎Kindai Picks:当事者が考える「障がい者」ひらがな表記問題。一ノ瀬メイ×岸田ひろ実「障害の本質」対談

企画:トミモトリエ/執筆:ヒトミ・クバーナ/編集:しまだあや
「障がい」の「がい」をひらがで書く配慮。それって誰のため?当事者である一ノ瀬メイさん×岸田ひろ実さんの対談。
対談をそのまま配信したかったくらい、取材時のトークに感動してしまったのですが、公開されてからも思い出して何度も読んでしまった記事です。
 

その他

3位は同点がたくさんあるので一気に紹介します。

▶︎Kindai Picks:愛を込めて「キッチンカロリー」に花束を。53年、近大生の胃と心を満たしてきた名物食堂が閉店(店内360度映像付)
▶︎Kindai Picks:60年前の家族と暗室で会った。近大写真部「フィルム現像」体験記
▶︎No Meets:会えない日々で何話してる? 遠距離カップルのだらだら日常会話
▶︎マイネ王:「ステイホーム」しながら海外に「ホームステイ」してみた

共通点として、何気ない日常や、今まで普通だと思っていたもの、当たり前だったことができない、そういうエモさが今年は心に刺さったのかな……と思います。

  

2021年は研究と実験の年に!

人間編集部の仕事は、コンテンツの「企画」「編集」と、コンテンツの元となる人や物事の「変集」です。Webコンテンツや文章だけではなく、あらゆる物事に必要な「企画」「編集」、そして「変集」の力を発揮したいと思っています。

そのために、人間編集部が今年挑戦したいのは、”知る”の新しい体験を作ることです。

それを実現するために、既存メディアにとらわれない、新しい”知る”の実験を行う「しるすべ研究室」を立ち上げました。

株式会社人間が中心となり、様々な課題を解決するアイデアの実験・共同研究の場として設立した「人間研究所」の中で、人間編集部のメンバーと立ち上げた研究室です。

電話やインターネットがなかった時代も、人間は様々な方法で情報を伝え合っていました。身振ぶり手振りからはじまり、言葉を持ち、文字を発明し、道具を使い、飛脚や忍者が活躍した時代は伝達に命をかけてました。「しるすべ研究室」は、くさび形文字からモールス信号まで……情報伝達の歴史を探り、誰でも情報発信ができる時代だからこそ、人間の五感を駆使した、新しい「知る」の体験を研究します。

人間編集部を立ち上げて3年、株式会社人間は10周年を迎え、今年はとにかく実験と作品作りに力を入れる1年にしていこうと思っています。

  

本気で大阪(関西)を盛り上げたい

立ち上げメンバーの私とロマンは東京出身。私が6年前、ロマンが4年前に大阪に移住してきました。東京のことをよく知っているからこそ、そして、大阪を好きになって移住してきたからこそ、「関西を盛り上げたい」という思いがありました。
しかし、人間編集部に所属していた多くのメンバーが、東京の企業に就職したり東京を拠点に変えたりして、関西から去っていきました。どこかで「みんなに東京に行って欲しくない」という気持ちがあったのですが、それは止められないこと。でも、東京で活躍している姿を見るのはそれはそれで嬉しいんですよね。それでいいんだな、と思うようになりました。
それに、まだまだ関西には面白くて変な人がたくさんいる!!!!

2年目の振り返りでこんなことを書いていました。
そして、昨年も3人東京に送り出すことになりました。

「みんなが選んだ良かった記事」でも紹介した、キッチンカロリーの記事で人間編集部のライターデビューを果たした小田切さんも、「めっちゃいい文章書くやん!!頭角を現したぞ……!!」というタイミングで東京への就職が決まり、年末に旅立ってしまいました……。

しかし、「変集予備校 夜間部 マニアック科」で東京から高山さんをお呼びし、イベント終了後に大阪を案内したところ……

大阪を好きになり過ぎた高山さんが、大阪のことをツイートし続け……

そのツイートに、大阪出身のヨッピーさんがめちゃくちゃ食いつき……

なぜかこうなって

こうなりました。

そうか!まだ大阪のことを知らない、実は大阪と相性が良い面白い人もたくさんいるんじゃないか?
そして、大阪を離れても大阪愛を忘れない関西人がたくさんいるじゃないか!

今も、ヨッピーさんと高山さんと一緒にお仕事ができるよう作戦を練っているところですが、「大阪の仕事がしたい!」「大阪を盛り上げたい!」と、押しかけてくれる人がいる。

私たちこそ、もっと関西の魅力を伝えていかないといけないですよね……。それが、東京で生まれ育ち、大阪に魅了されて移住した私やロマンが立ち上げた人間編集部の強みであり役目だと思っているので、今年は「しるすべ研究室」の活動と並行して、関西の面白さをを伝えるためのメディアも立ち上げる予定です。

長くなりましたが、これからも人間編集部をよろしくお願いします。

やるぞ!!!!!

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